この記憶の片隅に

好きを忘れないためのブログ。

ジャニーズアイドルの「男性ファンって嬉しいよね」に対するモヤモヤにまつわるあれこれを如恵留くんに救われた

 

※ 本記事では、性的指向性自認についての表現があります。ご了承ください。

 

 

 

 

【概要】これは、表題の通りジャニーズアイドルの言う「男性ファンって嬉しいよね」に対してモヤモヤしていたあるセクシャルマイノリティを持つブログ主(筆者?)が、ジャニーズアイドルであるTravis Japan川島如恵留くん*1に救われたお話です。

 

ジャニーズのファンといえば、圧倒的に女性の数が多いです。きちんとしたデータがあるわけではありませんが、おそらくほぼ100%の確率で事実だと思います。*2

 

そのためなのか、たびたびアイドル側から話題にのぼるのが「男性ファンについて」

  1. コンサートなどの公演後本人たちから能動的に語られるパターン 例:「今回男性のお客さんもたくさん来てくださったよね」
  2. ファン側、あるいは共演者側などなにかしらの外部アプローチにより本人たちの話が聞けるパターン 例:男性ファンからのラジオのお便り、芸能人の男性ファンに対面した時

主にこのふたつのパターンにより語られることが多いのかなと思います。そのときの彼らのリアクションは、「嬉しい」です。そして多くの場合、「特に嬉しい」と言ったニュアンスで語られます。やっぱり同性から見てかっこいいって思ってもらえるのは嬉しいよね、と。

とても捻くれた見方をしますが、アイドルによく向けられる質問のうちいくつかについては、ある程度正解のようなものが用意されているような気がしていて。この、「男性ファンについてどう思いますか?」もその類の質問だと思っています。そのため、「特に嬉しい」っていうのは一種のテンプレート的な答えなのかなとも思っています。でも、こんな捻くれたことを考えていますが、同性にかっこいいと思われる嬉しさってきっと全くの嘘ではなくて、彼らの本心も*3含まれているのかなとも思っています。私はジャニーズのアイドルではありません。コンサートでステージに立ったこともなければ、大勢のファンの方から声援を送られたこともありません。だから、彼らの嬉しいと思う感情を想像することはできても、理解することはできないので、本当のことは私には分からないけれど。

さて、このある意味テンプレート的とも取れるQ&Aについて、私はずっとモヤモヤしていました。それはなにも男性ファンが特別視されている、女性ファンを蔑ろにしている、不平等だ、とかそういうことを言いたいのではありません。モヤモヤしている理由として、ここで言う男性とは果たしてどういう意味が含まれているんだろう、同性と異性にどういった壁があるんだろう?という疑問が挙げられます。

この記事では私がモヤモヤしていたこと、その理由、そしてTravis Japan 川島如恵留くんに救いの手を差し伸べてもらった話をします。普遍的な話ではありません。アイドルの発言に救われた、ただのファン一個人の話です。始めに断っておきますが、決して「男性ファンが特に嬉しい」というアイドルの意見を否定・批判するつもりはありません。

 

私は性別という指標を持って物事を語ることが苦手です。それは男女に限らずです。性別という指標そのものを否定するわけではありませんし、例えば体の性別で運動能力に一般的に差が出ることなどは理解しています。しかし、根拠が曖昧な話になっていくと、「それって本当に男女差?個体差だよね?」という気持ちが出てきてしまいますし、私個人としてはそういった指標にフラットでいたいと思って注意を払っています。

ここ数年でかなり一般に認知されるようになった単語として、「セクシャルマイノリティ」「LGBT」などがあると思います。今まで当たり前に認知されていた「体の性別がしっかりと決まっており、性的指向・恋愛指向は異性」という人ばかりじゃないよ、っていうやつです。私はこのセクシャルマイノリティと呼ばれるうちの一つの指向を持っています。そして、私は自分の価値観(指向)のことは全く受け入れられていません。「私の指向を知って欲しい、認めて欲しい、受け入れて欲しい」とは思っていません。どちらかといえば、「理解できないよね、そうだよね」って気持ちでいます。日々明るく楽しく逞しく生きていますが、どうして自分はこの指向なんだろう、という気持ちにはずっと苛まれています。このブログはごく親しい人が読んだらおそらく私だと分かるかと思うのですが、もし万が一見つけたら言ってくれてもそうじゃなくても大丈夫です、任せるね(私信)。でも一方的にバレてるだけっていうのもちょっと怖いかもしれない。私の指向そのものが間違っているとは決して言いません。それはきちんと向き合ったり、受け入れたりしているであろう地球上のどこかにいる誰かに失礼ですし、ただ私が私を受け入れられていないだけで、他の誰かを下げる意図も気持ちもありません。けれど私は、所謂マジョリティである「体の性別がしっかりと決まっており、性的指向・恋愛指向は異性」という指向への羨望、劣等感がずっとあります。これは私個人の意見です。他の人もそうというわけでは決してありません。ただ、そう思っている人の書く記事なんだなと思って見て頂けると幸いです。

そして上記の、彼らの言う男性とは果たしてどういう意味が含まれているのかですが、簡潔に言えば全く同じ性別、なのかなという一つの意見へと辿り着きました。男性の体として生まれ、男性の心を持ち、異性に恋愛感情や性的欲求を持つ*4。だから彼ら(=男性アイドルと男性ファン)の目指す「かっこよさ」「男らしさ」というのは同じベクトル上にあって、同じフィールドにいる(とここではされている)同性のファンというのは、「好かれる」以上に「実力を認められる」という意味合いが含まれ、それが嬉しいのではないかと。ライバルに認められる感覚でしょうか。あくまで推察の一つですが、なるほどそれはたしかに嬉しいだろうなあと想像できます。そう、本当に彼らの意見それ自体はなにひとつ嫌なものではないんです。もちろんこのこと以外にも、少数派である男性*5が増えるということは目に見えるファン層拡大ということになりますから、単純にファンが増えて嬉しい、といったものも含まれるでしょう。

それなら私が何にモヤモヤしていたかというと、アイドルという発信力のある存在に、当たり前に同性*6であるなら自分と全く同じ性別だろうと言われることに対してでした。それから、ファンという集団あるいは概念に対して、性別という区別が当たり前につけられていることも。彼らのことは双方性別を介して見ないといけないと要求されているようで、勝手にしんどい気持ちになっていました。けれど自分で言うのもなんですが、この手のショックには慣れていました。私にとってこの類のショックは、きっと周りは意図していないようなタイミングで、日常的に訪れるものだったから。だからモヤモヤはしていたけど、どうにかしてほしいとは思っていませんでした。この指向を持ってしまったんだから仕方ないことだ、と。それに現状では多かれ少なかれ性別*7が商売に絡んでくるアイドル側にそこまで配慮して欲しいというのも無茶な話なのではないか、とも。要するにモヤモヤしながらもその感情については諦めていたつもりだったのです。

 

 

ここでやっと如恵留くんのお話がでてきます。前置きが長くてごめんなさい。本当は前回の記事の続きを書こうと思ったのですが、らじらーの聞き逃し期間*8が過ぎてしまうのを危惧したこと、また今日がクリスマス、つまりノエルだということで、如恵留くんについての記事を書くこととしました。

そんな如恵留くんと、神に愛されすぎたアイドル・宮近海斗さん*9による2019年12月21日放送のらじらー!サタデーについて、とても思うことがあったので書き残しておきたいと思います。

ちなみにこの二人によるラジオ、ほんとうに生放送?というくらい進行がスムーズで、優しくて柔らかくて暖かくて、ワードセンスも炸裂していて、状況説明も上手で、とても良かったです。ファンの方からのお便りも優しくて、二人のアイドル論もたっぷり聞けて、気持ち的には永久保存版です。

 

ふつおたのコーナー*10で、視聴者の方から、こんなお便りが寄せられました。虎者を夫婦で観劇された方からでした。

 現場に来る男性ファンの方をどう思われますか。

男性ファンが少なくちょびっと恥ずかしかった、という旦那さんを見かねたファンである奥様からのお便りです。お二人でTravis Japanを楽しまれている、素敵なご夫婦のエピソードでした。それに対する如恵留くん、

素敵なお便りですね。

と前置きし、宮近くんに意見を仰いだのちに、次のように続けました。如恵留くんの発言がニュアンス含め間違わずに伝わったらといいなと思いながら、原文ママで文字起こしするよう心がけました。

実際ね、これ僕個人の意見というかね、考え方なんですけども、男性とか女性とか、って分ける必要ってないなと思うんですよ。僕は。

脳天を殴られたような衝撃でした。そして衝撃で気づいたら泣いていました。この質問に対してこの回答の導入をする人がいたなんて。

私はジャニーズというエンターテイメントを楽しむときに、そこに性別を見ているわけじゃない。それを演者側が述べてくれる世界があったなんて。そして彼は「個人の意見として」、とわざわざ前置きをしてくれています。これは視野の広い如恵留くんのことですから、きっとジャニーズアイドルにはそうは思ってない人もいるということが示唆されるでしょう。けどその一方で、これが"正解"なんかじゃなく、紛う事なき彼自身の意見であるということも伺えます。如恵留くんはさらに続けました。

そのー、もちろんね、その 友達とか、恋愛対象とか、

いろんなところで男性とか女性とかっていうなんていうか区別というか、あると思うんですけども。

でも 楽しいこととか 自分が本当にこれが好きって思っていることとか人とか相手とか そういうものに対してそういう壁って僕要らないなと思っているんですよね。

(宮近くん「うん、たしかにね。」)

このあと如恵留くんは、たしかに女性ファンも多いし恥ずかしいって最初は思っちゃうかもしれない、けどぜひ気兼ねなく足を運んでください、と締めました。お便りの主である男性の気持ちも十分慮った上で、彼のまっすぐな意見を述べました。このタイミングでこの発言は、たしかにきっと意思のあるものでした。エンターテイメントに性別はない(と僕は思っている)、友達とか恋愛対象とかで区別があるということも触れつつ、Travis Japanは誰しも歓迎しているよ、というメッセージだと私は受け取りました。この、「区別がある」という表現、とても優しいなと思いました。人それぞれだってことをこんなにも優しく的確に言える如恵留くんはすごい。

 

如恵留くんはとても素敵な人で、最高のアイドルです。人を下げるような笑いはしない、下品なことは言わない、そしてなにより色んな人を掬いあげてくれる人です。本人もバリアフリーなアイドルでいたいと言ってくれています。彼が色んな人を掬い上げられるような広い視野を持っているのは、もともとの価値観もありますが、いろんな意見に耳を傾けるだとか、知識を積極的に取り入れるだとか、そういった意識的な行動が実を結んでいるんじゃないかと思っています。

世の中には色んな人がいます、だから、如恵留くんがたくさんの意見に耳を傾けすぎて誰に対しても優しいというのが難しくなって、雁字搦めになってしまうことを勝手に恐れていました。自分自身でさえ認められていない私の価値観なんて、如恵留くんの世界に要らないと思っていた。けれど、私自身でさえかけられなかった優しい言葉を、如恵留くんがくれました。君はそのままでもいいんだよ、って言われているような気持ちに勝手になった。私は如恵留くんのことをまだまだ甘く見てた。彼はどこまでも広く強く優しい人なんだ。

もちろんこれが、如恵留くんが私のような(ある意味複雑な)指向の人がいると思ってした発言だと思い上がってはいません。むしろ、それだから良いんです。如恵留くんは、無知の知*11の人で、知識に裏付けられる配慮だけでなく、想像の及ぶ範囲の外の人にも気を配ることのできる人だと実感を伴って知れたから。

これで私が自分の指向を受け入れられるようになるとか、そういう劇的な変化はないかもしれません。けれど、「いいよ」って許してもらうっていうのは、想像以上に優しく降りかかってくるのです。アイドルを、性別のことを考えずに見ることを許してくれた。私はきっと如恵留くんがくれたこの言葉を忘れないし、忘れたくないからこの記事を書きました。

今回の記事では趣旨と逸れるので言及していませんが、宮近くんの返答も優しくて素敵だなと思いました。男性の方にも見てもらえたらいろんな人に見てもらえることにつながる、というのは彼らしい広い視野が伺えて良かったです。たしかにそれはそうだよね。

 

如恵留くんがアイドルで良かったです。この言葉を発信してくれてありがとう。やっぱり如恵留くんは素敵な人です。

川島如恵留さん、ぜひアイドル論という本を出版してください。心待ちにしております。

 

 

 

*1:ジャニーズ事務所のアイドルグループに所属する一人。青学を卒業し、宅建資格を持つインテリアイドル。川島如恵留 プロフィール | ISLAND TV

*2:100と言い切ることができないのは職業病のようなものです。データがないのに言い切ることはできません。

*3:100かもしれないし60かもしれないけど

*4:ジェンダー上この表記を使っています。彼らが実際誰かと関係を持っているかとかそういう話ではありません。

*5:見かけの性別

*6:コンサートの観客として語られることが多いので、ここでは見かけ上の性別。

*7:ここでは心が9割、体が1割くらいかな。心10割ではない

*8:NHKのラジオ番組「らじらー!サタデー」は毎週土曜日に放送されており、放送終了後公式サイトおよびアプリで番組を聞くことができます。配信期間は一週間。「らじらー!サタデー」22時台では、ジャニーズJr.のグループ、SixTONESSnow ManTravis Japanのメンバー2人ずつが週替わりでパーソナリティとして担当している。 聴き逃し | NHKラジオ らじる★らじる 

*9:同じくTravis Japanのメンバー。ダンスを武器としたTravis Japanのセンター且つリーダー。 宮近海斗 プロフィール | ISLAND TV 

*10:普通のお便りの略。テーマやお題に沿ったものではなく、自由なお便りのこと。

*11:知識があると自認する人よりも、知識が完全ではないと知っている人の方が賢いという概念。ギリシアの哲学者ソクラテスによる。